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私は、これから「新しい大津町」をつくる上で、何よりも住民の皆様との協働を軸に進めていきたいと考えています。
頻発する災害、終息の見えない新型コロナウイルス感染症、テクノロジーの進化やグローバル化の波、さらに移住者の増加や高齢化など、町を取り巻く環境は変化し続けています。社会が動く中、町政もより力強く、柔軟に変わらなければなりません。
また、そうした厳しい環境のなかで、地域と暮らしを守るためには、諸団体や企業を含めた住民の皆様と町が手を握り合いながら進めていくことが不可欠です。
そのためにも、まずは町の側が、より分かりやすい形で情報公開・発信を進めながら、かつ、一方方向ではなく、多様な声を聴き、意見を交わし、それらを生かせる、あるいは社会的な活動を支えていける具体的な制度や仕組みを設け、実行していくことが必要です。もちろん、それを高いレベルで実行・実現するための強い役場組織を作ることが前提となります。
また、令和3年度は、平成30年度から8か年の第6次大津町振興総合計画における後期基本計画の策定年度でもあります。これまでの取組みを検証し、新たな色も加え、指標設定の在り方など、これまでも指摘されている部分も改善しながら、令和4年度からの後期基本計画をしっかりとつくり上げます。
また、大津町の、20年先、30年先、さらにその先のまちづくりを考えた場合、各課題を先送りするのではなく、いま方向性を選択し、決断しなければならない事項が多数あります。4年間の任期の初年度でもある令和3年度には、そうした課題に対して、これまでの経緯や地域の事情も織り込んだうえで、事実に基づく客観的な視点を持って、定量的データも集めながら、議論の土台を整理します。そのうえで、住民や議会の皆様にも丁寧にご説明して意見を仰ぎなら、一つひとつ丁寧かつ迅速に、あるべき姿を描いていきます。
さらに、各施策に関しましても、これまでの取組みを単に継続させるのではなく、定量的かつ科学的な判断の下、施策の費用対効果も踏まえ、順次再検証もしながら整理することで、財政的にも持続可能なまちづくりを推進していきます。
まちづくりのあるべき姿とは、単に人口増加や場当たり的、ばらまき的なサービス向上に取り組むのではなく、今ここに住んでいる人々の生活を永続的に守ることに他なりません。町民の皆様とともに町の良い部分は更に伸ばし、変えるべきは変えながら、今もこれからも、「世界で一番住みたいまち、住み続けたいまち」を目指して取り組みます。
それでは、町政に当たっての基本方針・個別方針をご説明します。
現代は、目まぐるしく変化する多様性が求められる時代です。住民の皆様の多様なチカラや民間企業の資源を生かして様々な変化や困難に適応でき、相乗効果を発揮できる協働の町を目指します。そのためにも企業や各種団体との連携・協力体制を強化するとともに、各種専門人材を含め、役場の生え抜きではない外部人材の登用も進めます。
キャッシュレス、業務の自動化など産業のデジタル化が進んでいます。そうした新しい手法も積極的に取り入れ、業務量分析や費用対効果分析なども行いながら、サービスの向上と業務効率化の同時実現を進めます。新技術の導入はもちろん、外部への業務委託も検討し、暮らしの利便性やサービス品質を上げながら、事務の効率化で生まれる財源や職員力を新たな課題解決や未来への投資に生かします。
単なるスローガンや方向性だけを示しても物事は中々変わりません。場当たり的な対応ではなく、しっかりと将来ビジョンを描き、組織運営、住民サービス、教育や経済活性に至るまで、政策に基づく具体的な制度と仕組みによる改善を進めます。
成長が著しい市町村では、首長が熱心かつ活動的に対外交渉や情報発信をおこなう姿勢も目立ちます。また、先ほど申し述べた住民の皆様との協働を進めるためにも、トップが誰よりも汗をかき、率先して町内外の様々なことに取り組むことは不可欠だと考えています。
まずは役場庁舎や公共施設おける公衆衛生・感染防止策を更に徹底しつつ、自粛や閉じこもりによる生活者の健康被害を抑制し、また、町内事業者をしっかりと支えるための支援を行います。予防ワクチンの接種が始まるところですが、国や県、医療機関とも密に連携しながら、分かりやすい情報発信と安全安心な接種体制を整えながら着実に進めます。
災害や事故対策は平時における備えが最も重要です。自然災害から交通事故に至るまで、まずは町内の危険想定個所を把握・総点検し、優先度をつけ、もちろん全体的な財政バランスは十分に踏まえながらにはなりますが、緊急性の高いものは集中的に予算措置をしながら着実に整備を進めます。
また、消防署や警察署などはもちろん、各行政区、消防団、防災士との役割整理、地元事業者との災害時応援協定の締結などを進めながら、地域一体となった多様な防災・防犯対策ができる体制を確立します。
待機児童の解消と学童の定員増、病児保育の受け皿づくりなど、基本的な環境を整えながら、子育て世代を支えるとともに、未来を担う子ども達がこれからの時代で、夢を持ち、叶え、力強く生き抜く力をつけられる環境をつくります。子ども達の個性や家庭状況なども多様化するなか、教育におけるICTの積極活用や、学校ボランティアの支援と養成、子育て関係会議への当事者の原則選任化なども進めながら、家庭、学校、地域による重層的な子育て・教育政策を展開します。
ここ数年、大津町においても乳幼児の数は減少傾向に転じています。持続可能な地域であるためにも、より子育て世代に選ばれるための魅力と環境づくりを進めます。
また、老朽化の進む小中学校校舎および校区、給食センターの今後、児童数が減少している2つの町立幼稚園の在り方など、近年先送りとなっている課題についても、データ分析やシミュレーションを進め、議論を確実に前進させ、方向性を決めていきます。
超高齢化を迎えるなか、限られた財源で「持続可能な福祉体制」をつくるため、そして何よりも多くの方に長く健康で充実した生活をしていただくために、健診の推進や生涯学習・スポーツの推進などの多様なアプローチによる「病気予防や早期発見の体制づくり」に従前以上に力を入れます。また、公共交通の充実や、地域福祉の推進、民間企業との連携による高齢者サービス支援ネットワークの構築など、誰もが末永く住み慣れた地域で豊かに生活できる体制づくりによって、誰ひとり置き去りにしないまちづくりを進めます。
所謂、役所的な発想だけではなく、人やお金の流れを生み、雇用や税収を増やすための、経済効果にもこだわった新しいデザインが必要です。経済や経営、マーケティングの視点も生かした発想で、町に新たな活気とにぎわいを創出します。
実現に向けては、スポーツの森駅の新設や商業施設の誘致、新たな幹線道路の整備など、町全体における新たな活気とにぎわいづくりに向けた、具体的な調査検討や関係機関等との協議を進めます。また、地域の方々や関係諸団体とも連携しながら町の豊かな歴史文化や自然を、郷土愛の醸成と観光分野の両面で生かすため、所管横断的に取り組み、地域や住民の皆様とともにあるべき姿を描き、一つひとつ整理しながら進めていきます。
国内人口が減少し、国内需要も縮小するなか、目先の誘致策や就農支援だけでは産業は先細りになります。もちろん、誘致や就農支援に向けた取り組みも継続して行いながら、いま農工商を担う方々をしっかりと支援し、将来にわたって事業をおこなう場として外部からも選ばれる「事業者にとって魅力的な産業地域」をつくります。
農業においては、まずは鳥獣・病害対策に注力し、農業従事者が安心して事業に取り組める環境を整えます。また、工業に関しては町による支援・連携体制を強化しながら地場産業のさらなる育成と産業間の相乗効果創出を図ります。商業や観光業においては、観光協会やスポーツ文化コミッションとのかかわり方、町としての位置づけなども再整理しながら活性化させます。
「住民の立ち場に立ったサービス」を提供するため、そして、協働の基盤となる多くの方々のご理解と信頼を得るために、住民の皆様との座談会なども重ね、様々な声と向き合い、説明責任を果たしながら進めます。また、多様化する住民ニーズや地域課題に対応するため、外部人材などの登用も行いながら、多様性のある「新しい行政組織づくり」を進めます。
あわせて、人材育成の基本方針や手法を見直しつつ、人的資本の活用に注力するとともに、働き方改革によるワークライフバランスの改善、人事評価制度の効果的な運用を通して、職員の意欲・能力の更なる向上を図っていきます。
さらに、ふるさと納税の更なる振興や、町有財産の有効利用や整理などを通した、新たな財源確保にも努めながら、より住民の皆様から信頼され、安心して暮らしていただける、強い組織による持続可能な町づくりを進めます。
以上、町政を推進するに当たり、所信の一端を述べさせて頂きました。これらを町政運営に反映するには、町議会をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力が必要不可欠です。
より一層のご指導、ご協力をお願い申し上げ、所信の表明といたします。