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令和5年度 施政方針

ページID:0002569 更新日:2023年12月5日更新 印刷ページ表示

令和5年度 施政方針

 昨年は、新型コロナウイルス感染症の長期化に加え、ロシアのウクライナ侵攻等を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響などで、エネルギーや食料品等の物価上昇が日々の生活や事業活動に大きな影響を与える厳しい年となりました。しかし、一方で、本町においては、TSMCの進出に伴い半導体関連の企業立地が急増し、それに伴う宅地等の開発が増加するなど、町が活性化していることを実感できる年でもありました。

 さらに、空港アクセス鉄道の分岐駅が肥後大津駅に決定したことも、本町の活性化の追い風となります。今後は、熊本市や阿蘇方面への玄関口としての本町の役割がますます大きくなるとともに、県全体の活性化にも関わる重要な役割を担うことになるものと認識しています。

 また、今月23日には阿蘇くまもと空港に新旅客ターミナルビルがオープンし、4月には空港の南に東海大学臨空キャンパスが開校します。あわせて、同大学のスクールバスが肥後大津駅を発着し、毎日多くの学生が利用することになります。さらに、7月には南阿蘇鉄道が全線復旧し、高森駅から肥後大津駅までの直通運転が実施される予定です。これに加え、新型コロナ等の影響で2年10か月にわたり運休していた国際線のうち韓国ソウルの定期便が今年1月から既に再開しており、今月23日と26日には台湾台北とのチャーター便の運航も予定されています。国内のみならず、アジアから、またアジアを経由した世界中の国々から観光客、ビジネス客が肥後大津駅に降り立つことになります。観光、ビジネス、通学と様々な目的をもった多くの人々の往来が見られるようになることは、住み暮らす町民の皆様にとっても活気づく町の雰囲気を感じ取れる光景になるのではないかと思っています。

 町としましては、この好機を最大限に活かし、短中長期の時間軸において、短期目標及び中長期目標を設定した上で、それぞれの目標達成に向け着実に実績を積み重ね、10年後、20年後、30年後も成長に向かい、住み暮らす皆様が幸せでいられる町であり続けるよう、戦略的かつ機動的に事業を展開していく考えです。

4つの基本方針

 私の基本方針である、「民間の知恵と活力を生かす」、「先進技術(ICT)や民間企業の業務手法の活用」、「具体的な制度と仕組化」、「強力なトップセールス」の4つは、一貫した考えとして具体的な事業展開の中で町民の皆様にお示しするとともに、職員には全てに通ずる前提として、常に念頭に置いて業務にあたってもらいます。

 それでは、就任以来掲げている7つの個別方針の観点から、令和5年度の施政方針を述べさせていただきます。

7つの個別方針

1.コロナ対策

 これまで、ワクチン接種や感染防止対策など様々な施策を講じてきたところですが、5月には、新型コロナが5類に引き下げられる予定となっています。それに伴い、新たな視点で施策を打っていかなければならない局面になったと感じています。国の動向を注視しながらも、町民の皆様にとって最適な施策は何なのか、しっかりと見極めながら対応していきます。

2.命を守る徹底した防災・防犯対策

 今年度は、街灯LED化の完了、難聴地域への防災無線の新設・増設・移設や、消防団運営交付金の創設、消防団員の報酬増額改定、また、防災士養成に力を入れ、地域の防犯対策、防災力向上に取り組みました。令和5年度も地域の防犯、防災対策に引き続き取り組むとともに、新たに太陽光発電設備を取り巻く町民の不安に対して町としてしっかりと向き合っていきます。

 本定例会に条例案を上程しておりますとおり、本町の基本方針は、「太陽光発電設備を適切な区域へ誘導すること」、「地域住民への丁寧な説明と協議の機会を確保すること」、「設置後の適切な維持管理の徹底とその監視を行うこと」にあります。その方針を具体化するため、条例案では、災害対策、環境保全の観点から抑制区域を設定し、抑制区域内での事業を行わないよう事業者に協力を求めること、そして、事業者、地域住民、町の3者で組織する協議会を設立し、設備や河川の維持管理状況の確認と相互の協力体制の構築を目的に、定期的に情報交換や協議を行うことを定めています。
 町民の生命、身体及び財産を災害から守るという町の責務を果たすため、協議会という組織を整備したうえで、町が出来うるあらゆる対応策を講じていく考えです。町組織としましても、関係部署が横断的に「チーム太陽光」として、一丸となって取り組んでいきます。

3.子育て支援・教育環境日本一のまちづくり

 日本における専業主婦(夫)世帯と共働き世帯の割合は、令和3年で専業主婦(夫)世帯が約30%、共働き世帯が約70%という統計結果にも表れているとおり、全国的に保育ニーズが高まり、また多様な働き方に柔軟に対応できる保育サービスが求められています。本町においてもその傾向は同様であり、また、宅地開発の加速により子育て世代の転入の急増が見込まれることから、子育て支援の充実は急務であると認識しています。そこで、令和5年度は次の2項目について重点的に取り組んでいきます。

 まずは、保育サービスの充実に向けた町立園の再編です。
 今年度、「大津町公立保育等再編方針」に基づき、町立大津幼稚園を認定こども園に移行することを条件に民営化の手続きを進め、先月、移譲先事業者を決定しました。令和5年度は、移譲先事業者と協力し、スムーズに認定こども園の開園につなげられるよう、保護者に丁寧に説明を行いながら、在園児にも不安を感じさせないよう、しっかりと取り組んでいきます。
 さらに、第2段階となる公立認定こども園の開設計画にあたっては、子育て支援の拠点施設として整備することで、多様な保育ニーズに応えるとともに、魅力あるエリアの創出により「子育ての町」としての支援体制とブランド力を高めていきたい考えです。

 2つ目の重点的な取組みは、児童虐待への対応です。
 最近は、残念ながら児童虐待事例や保育所等での職員による虐待のニュースが増えてきたように感じています。子どもを守ることは当然ながら、保護者を支援し、人生における子育て期を充実したものにすることができるよう、町としてしっかりと取り組んでいかなければならないと認識しています。そのひとつのメニューとして、令和5年度に「子ども家庭総合支援拠点」を設置し、子育て世代包括支援センターと一体となって支援を行うとともに、児童相談所との円滑な連携が図れるよう体制を整えます。

 次に、教育環境については、学校施設の整備が喫緊の課題です。令和5年度は、大津中学校の大規模改修工事に着手します。工事中も、生徒の皆さんが、仮設校舎で安全に安心して勉強できるよう配慮していきます。また、財政シミュレーションにおいてお示ししましたとおり、厳しい財政の中ではありますが、南小学校の建て替えについても計画どおり実施ができるよう備えていきます。
 また、ICTも活用しながら個別最適な学びの提供をより一層推進して児童・生徒の強みを伸ばすとともに、弱点の克服を図ることを目的に、令和5年度は、新たにAIを活用した学習ソフトを導入し、ひとりひとりの個性や習熟度にも一層配慮した取組を行って行きます。また、国際交流を通じて、多様な他者と協働しながら強く生き抜く力を養うことを目的に、新型コロナの流行により休止していた台湾高雄市の姉妹校との交流再開の準備を進めることとします。

4.人生100年時代を見据えた福祉

 人生を支える「健康」について、今年度は「地域活性化企業人」として国内スポーツクラブ業界大手のルネサンスの職員が役場に着任し、民間企業のノウハウを活かした健康づくり事業を開始しました。そこでおこなった全年代を対象とした健康づくりに関するアンケートの結果から、70代、80代以上に比べ、60代以下の運動量が極端に低いこと、加えて「運動習慣をつけたい」と多くの方が望まれていることが分かりました。その結果をうけ、1年目である今年度は、70代から定着する傾向にある運動習慣を、より早期に定着させることに主眼を置き、30代から60代をターゲットにした運動プログラムを重点的に実施しました。令和5年度は、中央公園に距離表示や歩幅表示を施し、町民の運動意欲を向上させる取組や町内企業向けの運動教室等を実施し、全世代向けの健康づくり事業をさらに推進していきます。
 また、大津町運動公園及び町内各種スポーツ施設の指定管理者制度導入が令和5年度から始まります。民間のノウハウや柔軟な運営体制を活用することで、これまでにない新しいスポーツ体験の提供や、大会誘致を推進し、町民の健康増進、また町のにぎわいづくりに寄与させるとともに、採算性と効果の向上に努めていきます。

 次に日々の暮らしを守る「福祉」については、令和3年7月の新庁舎供用開始に合わせて福祉課内に設置した「ふくしの相談窓口」が、複雑化した相談課題についてコーディネートを行い、部局を越えて横断的な相談支援にあたっています。福祉サービスにつなぐことで終結する相談だけではなく、継続して見守る必要がある事例が増加している状況にあり、相談員が出向いて相談をうけるアウトリーチ型の支援を積極的に行っています。開設から2年目を迎え、相談窓口の認知度も上がってきたように感じますし、相談員の機動力も向上していることから、本町における相談機能の強化が着実に進んでいるものと実感しています。今後も継続して重層的支援体制の構築に取り組んでいきます。
 また、令和5年度は本町の高齢福祉、障がい福祉の土台となる計画をそれぞれ策定します。両計画に共通する目的は、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる環境を整えることにあります。策定にあたっては、アンケート調査や関係団体との意見交換を行い、当事者の声をしっかりと施策につなげていく考えです。

5.活気とにぎわいを生む仕組みづくり

 まず、町民の皆様の関心が高く、かつ、町全体の活気とにぎわいの土台となる「公共交通施策」については、令和5年度に町中心部を回遊する新たな移動手段の導入に向け実証実験に取り組みます。北部南部から乗り合いタクシーで中心部にお越しいただき、中心部では回遊型の移動を行っていただくことで、どこに住んでいても、車を運転できなくとも、利便性を感じられる仕組みとする予定です。
 また、町民の皆様も深刻な問題としてとらえておられる「交通渋滞」については、渋滞発生路線である町道三吉原北出口線の迂回ルート整備のための舗装構成調査を令和5年度に実施し、令和6年度からの改良工事を目指します。また、町道室工業団地4号線の拡幅及び延長についても、交通分散を進めるため継続して取り組んでいきます。その他の道路整備についても、国、県、周辺市町村と連携しながら戦略的に取り組んでいきます。

 次に、活気とにぎわいの中心となると思われる「肥後大津駅周辺整備」については、現在、くまモンとコラボし、肥後大津駅南のビジターセンターの「熊本の玄関口」としてのシンボル化・魅力化に取り組んでいます。さらに令和5年度は、「肥後大津駅周辺まちづくり基本構想」を策定し、まちなかエリアの将来ビジョンを町民の皆様とも共有し、実現につなげていきます。
 また、役場北側の県道沿いの旧地域包括支援センターについては、大津町商工会に貸し出すことで、まちなかエリアをはじめとした飲食店や各種店舗、企業等とこれまで以上に密に連携をとっていただき、町内の活性化に一層寄与していただきたい考えです。残る旧電算室についても、早期に貸し出しを行い、財産の効果的な利活用を進めます。

 次に、歴史・文化面については、今年度は歴史文化伝承館の展示方法を改良し、動画を活用した企画展などを実施したことで、以前より多くの方に来場していただくことができました。令和5年度は、より多くの方に興味をもっていただくため、引き続き魅力ある展示を行っていくとともに、新たに、江藤家住宅や町内の文化財を書籍、リーフレットや見学マップにまとめ、町内学校の地域学習に活用し、江藤家住宅の一般公開においても活用することとしています。大津町の宝を後世に伝えていくために、魅力発信に一層力をいれる考えです。

6.町内産業支援と活性化

 本町は農工商並進を推進しており、これからも力強く継続します。今年度は農業においても、原油価格・物価高騰の煽りを大きく受けたことから、町独自の補助金による支援を行ってきました。令和5年度は、農道舗装工事などによる環境整備をはじめ、引き続き経済情勢を注視しながら必要な支援を行っていきます。
 また、商工業についても、コロナ禍に加え原油価格・物価高騰の煽りを大きく受けました。こちらについても、町独自に、小規模事業者に対する経営継続支援金や、アフターコロナを見据えた起業や新分野進出に対する補助金により支援を行ってきました。起業9件、新分野進出7件の補助ができたことで、一定の効果があったものと認識しています。そこで、令和5年度も起業・新分野進出への支援を継続して実施し、アフターコロナにおける本町の商工業の推進に弾みをつけたい考えです。さらに、新たな取組みとして、デザイナーとして地域おこし協力隊を任用し、観光パンフレット、ふるさと納税等で使用する商品パッケージ・ノベルティデザイン等、観光に関わる制作物の磨き上げに取り組みます。これにより、町のブランド力と集客力の向上、そして本町の商工業や観光に相乗効果をもたらすことを目指します。

 次に、工業団地の整備については、適地調査の結果を受け、令和5年度から整備に着手することとしました。分譲開始は令和9年を予定しており、それまでは「大津町企業誘致パートナーシップ制度」を有効活用し、不動産事業者及び金融機関と協力して民有地のスムーズなマッチングにつなげ、短期ニーズにも確実に対応していきます。しかしながら、企業誘致の受け皿となる工業団地については、早期の完成が望まれていることを十分に認識しています。そのため、町の組織体制としましては、企業振興課の職員を増員するとともに、工業団地整備に伴う道路、下水道等のインフラ整備についても部局横断的に力強く取り組んでいく考えです。

7 町民に、より信頼され、愛される役場の実現

 就任当初から取り組んだ業務量調査の結果を踏まえ、先の12月定例会では職員の定数を219人から242人に増員する条例案を可決いただきましたので、令和5年度から数年かけて職員を増やしていく考えです。今年度は、民間企業経験者の中途採用を初めて実施しましたが、今後も即戦力となり、組織の多様性を推進するような20代後半から30代を中心としたキャリア採用を継続的に実施することが必要と考えています。
 また、定員を増やすことと並行して取り組むこととしているのが、業務内容やプロセスの見直し、デジタル推進や民間委託などの行政改革です。業務の効率化を適切に実施することで、職員がより町民の皆様と向き合い、皆様の暮らしの質の向上に直結する業務に集中できる体制づくりを更に進めていきます。

 組織の最大の財産は人財であり、役場職員の人材育成の成果は、町民の皆様に提供する全ての住民サービスに反映されますので、人材育成への投資も強化し、たゆみなく学び続ける組織作りを進めていきます。そのための取組みの一つが、職員一人ひとりのキャリアデザインを見据えた、職員研修の充実です。全職員を対象に論理的思考(ロジカルシンキング)に関する研修を実施することで、職員の相互理解の精度とスピードを上げ、組織能力を高めることを目指します。また、係長級を対象にマネジメント力の向上のための研修を実施するほか、キャリアステージに応じた体系的な研修や、専門性を高めるために短期集中型の派遣研修も併せて充実させていきます。
 また、新たな人事評価システムの導入により、職員の経験・スキル、各種目標の達成状況や育成状況を経年で見える化し一元管理することで、これまで以上に、中長期視点に立った人材育成や人事体制のシステム構築を進めます。

 そして、町民の皆様の信頼を得、また安心して暮らしていただくためには、健全な財政運営が必要不可欠です。様々な整備計画がある中で、厳しい状況は続きますが、業務の効率化や補助財源の確保、また今年度約10億円にのぼる寄附をいただいているふるさと納税のさらなる磨き上げなど工夫を凝らし、健全運営に努めていく考えです。当然に、町税、保険料等の適正な賦課徴収につきましては、改めて気を引き締めて行っていく所存です。

 なお、これまで述べさせていただきました政策や町の様々な情報を発信・周知することは町民の皆様との協働の大前提となるものですので、広報誌、ホームページ、LINE等を通じてわかりやすくお伝えしていきます。また、本町が、外からは「選ばれる町」となるように、「大津町らしさ」、「大津町独自」のブランド力を各施策において強化していきたいと考えています。

 以上、町政を推進するにあたり、基本的な考え方と今後のまちづくりにおける私の考えの一端を述べさせていただきました。

 今年度も町政運営に邁進することができましたのは、大津町議会並びに行政区嘱託員をはじめとする地域の皆様のお力添えのおかげです。この場をお借りしまして、深く感謝申し上げます。今後も引き続き職員と一丸となって「世界で一番住みたいまち、住み続けたいまち」、そして全ての人の人権が尊重され、多様性を寛容に受け入れることができる優しさがあふれ、誰もがふるさとを誇れる、魅力あるまちづくりに向けて取り組んでいきますので、議員各位並びに町民の皆様のより一層のご指導、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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