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全国の駅伝で活躍し、2024年に現役引退を発表した窪田忍さん。新たな生活の拠点に選んだのは大津町。第一線を走り抜けたトップランナーが、陸上指導や地域とのつながりを大切に歩み始めた姿にクローズアップした。
福井県鯖江市出身の窪田さん。高校から陸上を始め、駒澤大学時代には大学三大駅伝で通算5度の区間賞を獲得した。卒業後はトヨタ自動車に所属し、2015・2016年ニューイヤー駅伝連覇にも貢献。その後、九電工を経て、2024年に現役を引退した。
「これまで常に“多少無理をして大丈夫”と思っていましたが、どんな人でも思うようにいかない時はある。無理をすることと、引き際を見極めることの大切さをここ数年で学びました」とその経験を振り返る。引退後の拠点に大津町を選んだ理由の一つは「家族」。妻の実家があり、子育て支援の手厚さも暮らしの安心につながった。
現在は「エールランニングクラブ」の熊本エリアコーチ兼エリアマネージャーを務めるほか、熊本大学陸上競技部の長距離コーチ、町の部活動地域展開コーディネーターとして活動している。指導の場では「陸上は楽しく」を基本にしながらも、「陸上だけでなく、挨拶や報連相など、社会で基本的なことを当たり前にできるようになって欲しい」と語る。
「速くなりたいけど、どうしたらいいか分からない」―そんな子どもたちの気持ちを見落とさず、可能性を広げることを大切にしている。まずは町のスポーツイベントをさらに盛り上げ、そして将来的には「熊本には窪田がいる」「窪田に言えば大丈夫」と言ってもらえる存在になりたいと、これからの歩みに力を込める。
走る力だけではなく、幅広いスポーツにつながる身体づくりを大切にしている。
トレーニングなどの様子はInstagram『@aile_rc_kumamoto』でも見ることができる
第60回全日本実業団対抗駅伝で第4区を走る窪田さん(トヨタ自動車所属時)