本文
令和4年に九州産業大学から大津高等学校の普通科美術コースの教員として大津町に来た安川さん。時代に呼応した美術活動を展開する国画会の会員であり、令和4年開催の第16回大分アジア彫刻展では優秀賞を受賞、令和6年に開催された第79回県美展(熊本県美術協会主催)で大賞を受賞するなど、彫刻の世界に名を刻む安川さんにクローズアップした。
優しい笑顔で物腰が柔らかい安川さん。今回県美展で受賞した安川さんの作品はそんな柔らかい人柄が出たような、なめらかで、思わず触りたくなるような温かみのある作品だ。「小さい頃はよくLEGO で遊んでいました。高校ではアーチェリー部に所属していて、家族が芸術家とか、そういうわけでもなかったんですよ。」大学1年の時、大学拡張工事で廃材として大量の木材をもらったことがきっかけで木彫を始めることに。「木は、生き物なので温かみがあって好きですね。それに削りくずは燃えるゴミとして出せるので、非常にやりやすかったというのもありました。」取り組みやすいことと、何よりも木そのものの温かさに惹かれ、木彫の世界に足を踏み入れた。現在は教諭としての業務があるため、活動は土日のみであるが心の熱は絶やさない。「生徒の皆さんには、常識を身に着けてもらうためにしっかりと教養を学んでほしいと思っています。自由と無秩序は違うこと、常識を知っているからこそできるものがあること。それを学ぶことが大切だと思っています。」安川さんの作品を作り続ける姿勢と、常識や教養を大切に考えている姿は生徒の心に響き、根付いていくに違いない。
この作品は九州産業大学時代に作成していた形を磨き上げたもの。令和6年9月に熊本県立美術館分館に展示された。