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御前山の麓の五輪塔が点在する周辺は、口碑によると、西念寺跡と伝えられているところです。
しかし、西念寺に関する記録は、「国郡一統志」の阿蘇郡岩坂の条に、かろうじて「西念寺、阿弥陀」の一文字を見るだけで「国志」や「南郷事蹟考」にも見られません。
早時時期に廃寺となったことが窺えます。
西念寺跡と伝えるところには、現在不動堂が建っています。不動堂周辺には、五輪塔を主として、石造物が散在しています。
なかでも、際立ったものが2基の五輪塔です。
1基は、不動堂より西へ200メートル程行った畑の中にあり、たたけばカンカン音がすることから「カンカン塔」あるいは「カンカン坊主」と呼ばれています。
高さは204センチメートル、どっしりとした風格溢れる五輪塔で、刻まれた薬研彫の梵字はすばらしいものです。
安定感を与える水輪と火輪の反り、縊れをもった空輪などに特色が見られます。
もう1基は、各部がバラバラに放置されています。
地輪は前者の塔の下にあり、すぐそばの土手沿いには火輪が半ば埋もれた格好です。
他の部分は、不動堂の境内で造作に積まれています。
図で復元すると、高さは202センチメートル程度で、各輪の月輪内に梵字が薬研彫されています。
前塔よりもやや細長の感じを受けるもののどうどうとした五輪塔です。
こちらは、時代的に少しは下がるものと思われます。ただ残念なことは、四門の梵字を刻む以外には、銘文がないことです。
両塔ともに鎌倉時代から遅くとも南北朝次代の造立と推測されます。