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阪神・淡路大震災の教訓を基に活動し、地域防災力の担い手である「防災士」。現在、町の防災士連絡協議会には100人を超える防災士が所属し、町の減災と防災力の向上に努めている。その協議会会長を勤める松本さんにクローズアップした。
物腰が柔らかく、誰にでも親しまれるような印象の松本さん。18歳で上京し、郵便局員として働きながら夜間の短期大学に通い、勉学に励んだ。「何かしないと暇な時間がもったいない」そんな精神を持つアクティブな人だ。25歳で帰郷し、定年まで郵便局員としての責務を果たした。
そんな松本さんが防災士を目指すきっかけとなったのは平成29年7月の九州北部豪雨。阿蘇郵便局が被災し、郵便局員としてヘルプ要請が来た。現場に駆け付けると、被災地を支援する消防隊員の姿が目に入った。「私にも何かできることはないか」そんな思いから防災士を目指すことに。
令和2年7月豪雨などのほか、町に避難指示が出た時には地区の一人暮らしの高齢者の安否確認を行うなど、地域の防災にも務めている。「近年は地域のつながりが薄くなりつつありますが、災害時こそ隣の家の人に声を掛けてほしいです。5件先の家の人のことは知らなくても、お隣さんは分かるもの。そうやって声掛けの輪が広がれば、誰も取り残されずにすむ。」 災害時こそ民間力が発揮されることも多々ある。そんな時に活躍するのが防災士だ。「地区の防災士の顔だけでも覚えてもらえば、災害時にはお互いに動ける範囲が広がる。防災士という存在がもっと地区の皆さんに根付いてもらえたらと思い、活動をしています。」
総会時の様子。地区の防災力向上のため、研修なども実施している。