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町の歴史や逸話を集めた「大津歴史こぼれ話」の続編となる「続 大津歴史こぼれ話」を完成させた「大津の歴史を学ぶ会」代表の高本さんにクローズアップする。
「最初は大津町が嫌いでした。」54年前に結婚を機に大津町へ。肩身の狭い思いをすることもあり、町の第一印象は最悪だった。そんな彼女を変えたのは40数年前、大津町歴史編さん室の室長であった堀内氏と出会ったことがきっかけ。堀内氏から聞く大津町の歴史話は珍しく、「こんなに面白い話を私だけ聞くのはもったいない」そう思うようになった。そんな思いから大津の歴史を本として残すことに決めた高本さん。堀内氏からは「こんな年寄りの話、誰も読みませんよ」と一笑されたりもしたが、高本さんは本気だった。強い意志で取り組み、「大津歴史こぼれ話」が見事完成した。その後は町内の中学校で読み聞かせを行うなど、子どもたちに町の歴史を伝える活動も行った。活動をしていくうちに仲間が増え、平成25年に「大津の歴史を学ぶ会」が発足し「続 大津歴史こぼれ話」を制作することに。月に1回は検討会を行い、疑問に思うことは徹底的に取材した。検討会ではお互いの意見がぶつかることも。「遠慮していたら本は出来ない。なんでも言い合える関係だからこそ本が出来た」40数年をかけて「大津歴史こぼれ話」を作成する高本さんの言葉には説得力がある。「今となって思えば、何も知らないからこそ皆が教えてくれたし、応援してくれた。今ではありのままの私を受け入れてくれる大津町が好きですね」そう話す高本さんだが、彼女のまっすぐな思いが、周りの見る目を変えたのだろう。
左:平成18年発行「大津歴史こぼれ話」
右:令和6年発行「続 大津歴史こぼれ話」
絵本「西南戦争と三人のお姫さま」のイラストは高本さんの娘が描いた。