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女性の健康づくりを考える
女性の健康づくり
女性の身体や心は、思春期・成熟期・更年期・老年期と、ホルモンの状態が目まぐるしく変化していくのが大きな特徴と言えます。
女性に求められる役割は時代とともに変化して、今や多方面での活躍が求められており、女性が心身ともに健康であることは社会全体にとっても重要なことです。しかし、結婚や育児・仕事などライフステージごとに男性とはまた違った課題や変化が生じることも多く、社会生活(家庭・地域・職域・学校など)の中で、女性の様々な健康問題を一緒に考え、取り組んで行くこともまた重要なことと言えるでしょう。
思春期の女性・子宮頸がん予防接種が始まります
小学校6年生〜高校1年生相当の年齢では、子宮頸がん予防接種が始まります。
このワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス感染を予防する目的で平成25年4月から定期予防接種となりました。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は世界中あらゆるところでみられるウイルスの一群です。100種類以上の型があり、少なくともそのうちの13種類に発がん性(高リスク型としても知られている)があります。HPVは主に性器接触で感染、つまり性感染症であり、ほとんどの人は性交渉体験後まもなくHPVに感染します。子宮頸がんまたは子宮頸部前癌所見のうち70%は、性行為により感染した特定の種類のHPV(16型または18型)が原因だと考えられています。また、子宮頸がんだけでなく、肛門がん、膣がん、尖圭コンジローマなどの原因となる可能性があることがわかってきています。
ほとんどのHPV感染症は症状や病的状態を引き起こすことなく、自然に治癒します。しかし、稀に、特定の型(もっとも多いのは16型と18型)のHPVが持続感染すると、前癌病変につながります。これらの病変は、未治療の場合には子宮頸がんに進行しますが、この進行は通常何年もの歳月を必要とします。
これらの理由から、子宮頸がん予防接種は初回性交渉(セクシャルデビュー)前の年齢層に接種することが各国において推奨されているワクチンで、現在は9価ワクチン(シルガード9)、4価ワクチン(ガーダシル)、2価ワクチン(サーバリックス)の3種類が国内における定期予防接種で使用できるワクチンとなっています。
20歳から女性のがん検診が始まります
年度末年齢20歳になると、町の検診で子宮頸がん検診を受けることができるようになります。
子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、ヒトパピローマウイルスへの持続的な感染が主な原因です。
性交渉開始(セクシャルデビュー)年齢の若年化に伴い、近年、20歳代から30歳代の若年層に急増しているがんです。
20歳になったら、子宮頸がん検診を定期的に受けましょう。
年度末年齢40歳以上の女性は、乳がん検診(マンモグラフィー検査)を受けることができるようになります。
乳がんは女性が罹患するがんの中で最も多く、この40年間で約7倍になっています。また、乳がんによる死亡数は交通事故死の2倍以上です。これは食生活の欧米化や、少子化で妊娠経験が少なくなっていることなどにより、乳腺が女性ホルモン(エストロゲン)にさらされる期間が長くなっていることが理由であると考えられています。
※食生活の欧米化が進み、コレステロール摂取量が増加すると性ホルモンが増産されます。このホルモンの作用により細胞増殖が活発になり、がんができやすくなると考えられています。特に、大腸がんや乳がん、前立腺がんなどが関係していると考えられています。遺伝によるがんは5%程度に過ぎず、がんの原因の3分の1は食生活やウイルス感染などの生活習慣、3分の1は喫煙だとも言われています。
また、大津町独自の取り組みとして、年度末年齢30〜39歳の女性は乳がん検診(超音波検査)を受けることができます。
30歳代の若い世代では乳腺が発達しており、マンモグラフィー検査では正確に検査をすることが難しいと言われているためです。
女性のがんは20歳代後半から徐々に増加し、30〜40歳代から急増します。
しかし、早期の段階でがんを見つけることができれば、統計データ上、多くのがんで9割近くは完治できるとも言われています。
忙しい世代ではありますが、自分の体を労りながら充実した生活を送られてください。
女性に多い健康課題「更年期障害」について
閉経の前後約5年ずつの10年くらいを更年期といいます。日本人の平均閉経年齢は50.5歳のため、一般的には45~55歳頃です。
なお、最後の月経から1年以上月経がない状態を閉経といいます。更年期にさしかかると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が不安定になり、徐々に分泌量が低下していきます。その過程で様々な更年期症状が出現しますが、その中で生活に支障が出ている状態を「更年期障害」といいます。
【主な更年期症状】
- 血管運動神経症状(ほてりと発汗(ホットフラッシュ)、冷え、動悸、めまいなど)
- 精神神経症状(憂うつ感、イライラ、不安、不眠など)
- 月経異常、尿失禁、吐き気、胃もたれ、下痢・便秘、肩こり、腰痛、関節痛など
女性は思春期・成熟期・更年期・老年期と、年齢を重ねてホルモン状態が変化したり、結婚や育児・仕事などのライフステージにより更年期障害だけでなく様々な症状や健康への不安が生じがちです。
今の健康状態をセルフチェックしてみて、気になる症状や不快な症状がある場合は早めに婦人科を受診しましょう。
また、更年期症状だと思っている中に、深刻な病気が潜んでいる可能性もあります。内科や整形外科、耳鼻科、心療内科、精神科への受診も選択肢として知っておきましょう。
これって病気かな?女性の病気セルフチェック<外部リンク>(外部サイト)