新庁舎における維持管理について
今回は、新庁舎の完成後の維持管理面や保全計画についてお知らせします。
建物の一生であるライフサイクルコストを考えたとき、一般的に建設時の初期コストより完成後の維持管理費や修繕費の方がはるかに上回ると言われています。そのコストをいかに少なくするかが設計時、施工時及び竣工後の課題となります。
維持管理に必要な費用をランニングコストと言いますが、光熱水料費のほか建物や設備機器の法定定期点検・保守、設備機器の運転・監視及び日常点検・保守、清掃及び施設整備費などがあります。例えば、定期点検・保守での免震関係では維持管理用のマーキングが大事な役目を果たします。マーキングのズレを定期的に計測管理することで建物の異常を察知し、早期の修正(補修)を行うことができます。また、建設工事当初から納期が遅くなることが判明していたダンパーの取付は、免震装置を含む地下機器類の維持管理用マシンハッチと免震ピット内のメンテナンス通路を利用して行い、問題なく設置することが出来ました。
建物の保全や維持管理を考える時、建物を人に置き換える考え方がありますが、人は一生の内には様々なケガや病気を経験し、簡易な治療や重大な手術を行います。建物も同じで設備や建築部位において様々な修理や交換(治療)が必要です。例えば、衛生空調設備は15年前後、電力設備は30年前後で交換等が必要になります。なお、通信設備に関しては耐久性ではなく耐用性で使用できる期間が決まるかもしれません。ちなみに、病院には個人のカルテがありますが、建物にもカルテが必要です。新庁舎では完成時の成果品としてこのカルテを作成し、その後の維持管理や保全計画に活用する予定です。また、建物にも定期健康診断が必要です。法定点検以外にも定期的に現地確認を行い、記録を残すことで将来のFM(ファシリティ・マネジメント:施設台帳管理)業務につなげて行くことにしています。
【空調等設備設置工事の状況】




【ダンパー等を搬入するメンテンナンスハッチ】

【新庁舎における空調イメージ図】

【工事進捗状況説明図】
青色部分は施工済(完了)、赤色部分は躯体部分の施工中、黄色部分は内外装仕上や設備工事の施工中、無着色部分は未施工(今後の施工)部分を示しています。4階床工事まで終了し塔屋を施工中です。さらに内外装工事がかなり進んでいます。
